インドの北西部に位置するラージャスターン(Rajasthan)州のフォークダンス、「グーマル」をご存じですか?今後もしインドの北西部に行く予定がある方は知っておきたいダンスです✨また、ボリウッド映画「パドマーワト 女神の誕生」を観た方は、ディーピカ・パドゥコーンの美しい踊りに釘付けになったはず。ディーピカが踊っていた踊り「Ghoomar」はダンスのジャンルの名前
でもあるんです。
長い歴史の中で王宮の踊りとして育まれてきた、優雅なインドの民族舞踊。本ブログではその踊りと特徴をご紹介したいと思います。
⚫︎グーマルの起源
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グーマル(Ghoomar)は、ラージャスターン州の中でもマルワール(Marwar)という地域の伝統的な民族舞踊です。元々はビール族という北西インドに住む部族がサラスワティというヒンドゥー教の神様を崇拝するのに踊ったことから始まり、ラージャスターン地域周辺に広まっていきました。当時、ビール族は強い武力を保持する力なコミュニティであり、ラージプートの王たちと絶えず戦争をしていました。
当初はGhoomarは地元の女性たちによって踊られていましたが、後に王族の上流階級の女性たちも踊りに参加するようになりました。男性はこの踊りに参加することも見ることも禁じられており、王宮の中でもザナナ(Zanana)やアンタプール(Antahpur)と呼ばれる部屋でのみ踊られ、大衆に観られることはありませんでした。
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時が経つにつれて、宗教的な踊りから地域の伝統的な儀式となり、新婚の花嫁が新しい結婚生活への歓迎するという意味でGhoomarを踊る文化が浸透しました。現代ではGhoomarは結婚式、お祭り、宗教行事などの特別な機会に踊られることが多く、何時間にも渡って踊られます。
⚫︎踊りの特徴
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踊りの特徴としては、自転をしながら大人数で円を描いて盆踊りのように回ります。そのことから、グームナ(ghoomna)という単語はダンサーが回転する回る動きを表し、ghoomarという単語の元になっています。また常に左足を踏み込んでリズムを取る点も大きな特徴です。私たちBOLLYQUEがレッスンで「うんちゃ」と呼んでいる、ボリウッドではいわゆる「ディッピング」というステップですが、Ghoomarでは右足で踏み込むことはほぼなく、必ず左足でリズムをとります。そのステップは、なるべく柔らかく足の裏で砂漠の大地を踏み込むつもりで膝を曲げるのがポイントです。ボリウッド映画のGhoomarはカメラ映えするように、腰を動かしたりしていますが、腰にアクセントはつけずになるべく滑らかに見せることが美しいとされています。
踊りはラージャスターン州の地域の中でもエリアによって若干異なり、衣装も変わります。グジャラート州に隣接する地域では早いビートで踊られ、グジャラートのフォークダンスである「ガルバ(Garba)」に似たステップを取り入れます。一方で、ダウルプール(Dhaulpur)やカラウリ(Karauli)ではテンポが遅くなります。ウダイプール(Udaipur)、コタ(Kota)、ブンディ(Bundi )などでは服装や踊り方が違うそうです。
⚫︎衣装:ガガーラ(ghaghara)
女性は頭にグーンハット(ghoonghat)と呼ばれるベールをかぶり、昔は完全に顔を隠して踊りました。ただ現代は顔を隠してしまうとダンサーの表情が全く見えないため、頭を覆った被り方をしています。
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よくインドの「レヘンガチョリ&ドゥパタ」と呼ばれる3ピースのセットのほかに、Tシャツのような被れるブラウスを上から着ます。ドゥパタの装着方法もこだわりがあり、ドゥパタの端を左腰骨に留め、そのまま左胸下まで直線的に持ってきてとめたあと、顔の周りに巻きます。
⚫︎ガンガウール・グーマル・ダンス・アカデミー(Gangaur Ghoomar Dance Academy)
ラジャスターン州のサントランプールにて、世界で初めてGhoomarの伝統文化を守るために創立されたダンススクールがガンガウール・グーマル・ダンス・アカデミー(Gangaur Ghoomar Dance Academy)です。
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アカデミーはマハラニ・ラージマタ・ゴヴァルダン・クマリ氏(写真上)よって設立され、今まで閉ざされてきたプリンセスや王妃が踊る美しい踊りがいかに素晴らしいものかというのを世界に伝え、伝統的で正しい踊りの形を継承していきたいという想いで創立しました。 正しくグーマルを習いたい方はここで習うのが一番。
マハラニ氏は2007年、インド政府からインドの伝統芸術への貢献を評し、民間人として4番目に高い栄誉であるパドマ・シュリを授与されました。さらに、このアカデミーはインド政府から認められ ICCR (Indian Council for Cultural Relations) としても登録されています。
さらには2003年にサンジャイ・レーラ・バンサーリー監督から映画『パドマーワト』の名シーン"Ghoomar"の振付では、制作の際に監督からアカデミーに相談がありました。本アカデミーでGhoomarを習得したJyothi D. Tommaar先生が、女優ディーピカ・パドコーン(Deepika Padukone)を指導を担当することになり、2019年にフィルムフェアアワード Zee Cine Awardを含む複数の賞を受賞しました。
⚫︎Ghoomrを習えるオンラインダンスワークショップを開催!
2023年12月のオンラインダンスワークショップは映画"パドマーワト"の"Ghoomar"の一部抜粋を踊ります。BOLLYQUEの千晴はGhoomarの振付師Jyothi D. Thomar先生直接指導していただき、YouTuberのまよさんと一緒にダンス動画を撮影しています!
12月16日(土)17:00−18:30
もしお持ちの方は、ドゥパタとして使用できるショールなどをご持参ください!
【ご予約はこちら!】