インドのお正月"ディワリ"を終えても、引き続きお祭りムードが続くインド。今月はその流れを横目に、インドで愛され続ける名曲クラシックで踊りたいと思います。
Bollyqueのレッスンでは毎月新しい曲を数曲ずつセットリストに追加しています。このブログでご紹介するMusic Video(以下MV)を見てから参加すると、レッスンの楽しさ10倍です♪今月のレッスンを受ける前にぜひ予習をしてみてください!また今回のプレイリストはプンジャビ、タミルナードゥ、ケララ、マハーラーシュトラなど様々な地域を舞台とするボリウッド映画です。その地域にの文化についても解説しているので最後まで読んでみてください!
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ボリウッドフィットネスが気になったらレッスンを早速予約してください♪体験レッスンは随時受付中です。
※以下、クラス名の略称はB:はじめてのボリウッド、C: チャメリ, G: ゲンダ, K:カマル
(1)Gallan Goodiyaan【クラス:C,G】
● 映画「Dil Dhadakne Do」(2015)
倒産しそうな会社の社長とその奥さん夫婦が結婚30周年を記念して、地中海クルーズを催すという設定の映画。ただ、クルーズの真の目的は資産家の娘さんと自分達のどら息子を結び付け、会社の財政危機を救うことでした。そんな両親の思惑と裏腹に、息子は船でのショーに出演していたダンサーに一目ぼれをします。さらには、娘夫婦の不仲や会社の金銭問題が露呈して波瀾の航海に。最後は家族の愛が解決をするというファミリーストーリーだそう。
● 楽しい曲が盛りだくさんな豪華映画!
今回レッスンで踊る"Gallan Goodiyaan"は7年前の曲にも関わらず今もなおパーティーで流れる定番ソング。さらに同映画にはポップで楽しい曲が盛り込まれています。
まずは、千晴の「いつか踊りたいプレイリスト」のトップにある1920年代Swing風の曲"Girls Like to Swing"。このアヌシュカという女優さんが踊っているスウィングダンスがとってもキャッチーで可愛い♪このシーンはは、息子役のランビールがアヌシュカ役のダンサーに一目惚れをするシーンです。
さらに、映画のタイトルトラック"Dil Dhadakne Do"はプリヤンカ本人がボーカルを勤めた曲。アメリカの学園ものミュージカルヘアスプレーのようなPOPな60年代風の曲がキュートです。
● 曲"Gallan Goodiyaan"について
この曲はなんと全てを1テイクで撮影しています。よく見るとノーカットで、人の動きがとても綿密に計算されて動いていてかっこいい!パーティーソングによくあるように、歌詞には特に意味はないのですが、サビでは「アムリトサル(プンジャブの都市)のバングルを鳴らしてたくさん踊ろう〜」言っているので腕をふりふりさせてください。
(2)Aaja Nachle【クラス: C】
● 映画「Aaja Nachle」(2007)
90年代のヒンディー語映画界に君臨した女王、マードゥリー・ディクシット。BOLLYQUEでも彼女の最近の踊りをいくつも踊りましたね。マドゥリ様が映画「Devdas」(2002年)で大ヒットを飛ばした後に、5年間のアメリカ生活・子育てへ専念した期間を経て戻ってきた時の復帰映画です。ただなんとこの映画が残念な評価に終わってしまい、さらにその後6年間お休みすることになります。
ストーリーとしては、ニューヨークでダンスの先生をしていた主人公が恩師の死をきっかけにインドに呼び戻され、故郷の舞台芸術の復興に貢献する。まさにダンスがメインの映画です。
● 曲"Aaja Nachle"について
"Aaja Nachle"とはヒンディー語で"Let'Dance"という意味。ひたすら、その掛け声を繰り返しているので特に曲に意味はありません。この振付家さんは2007年のベストコレオグラフィーとして表彰されました!マドゥリ様の神々しいダンスを真似して踊りましょう!
(3)Apsara Aali【クラス:G】
● マラーティー語映画「Natarang」(2010)
題名はマラーティー語で「舞台芸術家」を意味する"ナタラン"。1970年代の小説を元に作られた映画で、設定もその時代の マハラシュトラの小さい村のお話。家族、友人、社会のハードルを乗り越え、思いもよらない夢を実現する若い芸術家の人生を描いています。男は力強く、女は家庭で夫を支えるというような、ジェンダー的な役割を強いられる社会的な問題を取り扱った社会派映画でもあります。
● マハラシュトラ州の音楽/踊り"ラヴァニ(Lavani)"
このMVで踊られている踊りは、ラヴァニという踊りで、インド西部マハーラーシュトラ州プネの民俗芸能“タマーシャー(Tamasa)”の歌やダンスのパートを指します。ムンバイはマハーラーシュトラの州都ということもあり、ボリウッド映画にもよくラヴァニがアイテムナンバーとして使われます。先日BOLLYQUEが横浜ディワリで踊った”Pinga"や、以前カマルクラスで踊った"Chikni Chameli"などがあります。
ラヴァニは18-19世紀にインドの大部分を征したマラーター王国の王族がパトロンとなり、兵士を癒すことを目的に官能的な踊りとして成熟しました。そのため、時代を経てタマーシャーおよびラヴァニは”下層農民の男性だけが観る芸能”というイメージがつき、ダンサーの女性達は”売春婦”と連想されることが多かったそう。後にこのMVのように村の小さな舞台で踊るタイプのパンダチ・ラヴニと、屋敷の一室の閉ざされた空間で踊るバイタキチ・ラヴニの2種類に派生していきます。ラヴニ音楽・ダンスのまとめ動画がったのでこちらを見るとわかりやすいかも!
● ラヴァニの衣装”ナウヴァリ・サリー”
ラヴァニのダンサーは”ナウヴァリ・サリー"(9ヤードという意味)という金の刺繍で縁取られたサリーをパンツスタイルに着ます。サリーの色のバリエーションは様々で、紫から赤まで色々な色のものがあります。アクセサリーは金の刺繍に合わせてゴールドを装着し、ゴージャスな感じが特徴的です!
マラーター王国の統治中、マハラシュトラの女性は男性の戦士と一緒に戦地で戦うために、男性のズボンのように見えるナウヴァリサリーをデザインしたと考えられています。 これは、マハーラーシュトラ州の女性が男性優位の社会で男性と同等の強さ主張する武器にもなる伝統的なサリースタイルになりました。
(4) Mauja Hi Mauja【クラス:K】
● 映画「Jab We Met」(2007)
8月から踊っている"Ye Ishq Hai"と同じ映画です。亡くなった父から会社を受け継いだアディティヤは、彼女に振られたことで落ち込み、ムンバイをさまよい、出発しそうな電車に乗り込みます。茫然自失となっていたアディティヤと同じ電車に居合わせたギート(カリーナー・カプール)。彼女はチャキチャキのパンジャーブ娘で喋りだすと止まらないタイプでした。ギートはアディティアの失恋を忘れるようにアドバイスをし、自然とアディティヤはギートに惹かれていきます。
● 北インドのインド服パンジャビドレス
この映画の舞台パンジャーブ周辺のインドやパキスタンの服としてよく着られるのが、パンジャビドレスです。この曲でカリーナ・カプールが着ているのはだいぶドレッシーで変化球なパンジャビドレスですが、基本的にカミーズ(トップス)、サルワール(パンツ)、ドゥパッタ(ストール)を合わせて着ます。ボトムスは、ゆったりと余裕のあるいわゆる日本でいう"サルエル"以外にも、スリムなパンツや裾が広がったシャララパンツなども合わせられます。
● 曲について
この曲も古い曲にも関わらずパーティーでよくかかる有名な曲!エンディングの楽しい締めの曲で、"Mauja Hi Mauja"とは"Enjoy just enjoy!"と翻訳されています。実は千晴がこの曲を使ってYouTubeで「初心者用腹筋!」の動画をあげていますので、お腹強化のトレーニングを行いたい方はご活用ください♪レッスンの踊りはよりダンス要素の高いフィットネスを踊りますのでそちらもお楽しみに!
(5)Babuji Zara Dheere Chalo【クラス:K】
● 映画『Dum』 (2003)
20年も前の映画で、タミル映画をリメイクしたものです。あまり評価の良くないアクション映画に終わってしまいました。映画は2人の警察官になりたての親友同士が、組織内でヤクザとつるむ先輩警察に酷い目に遭いながらも昇格を目指すといった友情ストーリー。"Babuji"はその主人公のセクシーな親戚という設定で出てくる曲で、ストーリーとはあまり関係がありません。
● ソヌ・カッカーのデビューソング
今を輝くラッパー兄弟、ネハ・カッカーとトニー・カッカーの長女、ソヌ・カッカー。現在43歳でテレビの音楽番組の審査員などを務めています。ウォームアップの"Oh la la"も実はソヌの曲。色々な声色が出せてすごいですね。MVでは冒頭はなぜかアイテムダンサーが牛に乗って登場。インドで牛に乗ってもいいのか?と疑問も抱かされます。酒場の全員が虜になるダンサーの役ですが、セクシーでありつつコミカルな振付が癖になります!
(6)Kashmir Main Tu【クラス:C,G,K,B】
● 映画『チェンナイ・エキスプレス -愛と勇気のヒーロー参上』 (2013) Chennai Express
大ヒット作「きっと、うまくいく」(2009)を抜き去り、当時インド映画史上歴代2位の興行収入を記録したアクションエンタテインメント。ムンバイに暮らし、40歳になってもまだ独身の主人公ラーフル(シャー・ルク・カーン)は、友人とインド西海岸のゴアへ遊びに行く計画を立てるが、その直前に100歳の祖父が他界。故人の遺志で、ゴアとは反対のインド南東部に位置するタミル・ナードゥ州の海に遺灰をまいてほしいと祖母に頼まれる。タミル・ナードゥ州のチェンナイに向かう列車に乗り込み、用を済ませたらそこからゴアへ行こうと考えたラーフルだったが、列車内で出会った美女ミーナを助けたことから、思いがけない事態に巻き込まれていきます。(映画com引用)
● 南インドに行ってみたくなるロケ地
この曲の最初のお茶畑は、ケララ州とタミル・ナードゥ州の州境に接するムンナルがロケ地となっています。イギリス領インド帝国のエリートたちの駐屯地兼避暑地であった丘の町で、19 世紀後半にできた茶畑が点在する丘陵に囲まれています。インドは北東部のアッサムやダージリンのお茶も有名ですが、南インドにもお茶の生産地があります。
また、曲の最後に出てくる海沿いのカットは、インドからスリランカへ航路で渡る際に通過するラメスワナム島とインド本土陸路をつなげるパーンバン橋が映されています。海の上を走る電車は、「千と千尋の神隠し」のワンシーンのよう!

● 擬似南インド体験ができる"It's a small world"のような曲
この曲はボリウッド映画からみた南インドということで、南インドの文化を画面の中にとにかく詰め込んだ曲です。賑やかで楽しいですよね。リリース後には「ステレオタイプだ」といった批判があったそうですが、文化に良し悪しをつけているのではなく分かりやすく記号的に表現した結果かなと私は思いました。
茶畑を抜けた先では次々と南インドを代表する文化が出てきます。千晴が目視確認できたものでも以下の通り。みなさんはいくつ見つけられるかな?
ケーララ
カタカリ:緑のお面が特徴のケーララ州のマラヤーラム語圏に伝わる古典舞踊
カラリパヤット:ケーララ発祥の世界最古の武術。
トリチュールポーラム祭り:シヴァ神が祀られるヒンドゥー寺院のお祭り。象の上に立って傘を持っている人がパレードを行うのが見もの。
タミル・ナードゥ
バラタナティアム:インドで最も古い古典舞踊。ヒンドゥー教の巫女であるデーヴァダーシーが、神に捧げる宗教的な舞踊として、寺院にて踊ったのが発祥。
クトゥダンス:南インドの力強くてかっこいいフォークダンス。男性は布を腰に巻き付ける"ルンギ"スタイルで踊ることが多い。
マイールアッタム(別名:孔雀ダンス):ムルガン神を祀る女性による踊り。青い衣装と孔雀の羽が特徴的。
ポイッカルクチライアッタム(別名:馬ダンス):アマン神を祀るフォークダンス。軽い素材でできた馬のプロップに体を包んで踊るそうで、スキルが必要だとか。
プリヤッタム(別名:虎ダンス)タミルのフォークダンスで、虎の格好をして踊るのが特徴。
● 歌詞の意味
なぜ南インドタミルの州都"チェンナイ"に行く映画なのに、曲のタイトルが北インドのカシミールなのかな?と、そのギャップが気になっていましたが、歌詞には「インドの南北に優越はない」というメッセージが込められていました。
「インドの北の人も、南のカンニャクマリ(インド本土最南端)端の人も、いがみ合ったり近寄ったりしながら少しづつ歩み寄って、"インド"という車で一つの道を走っている対等に立場や状況なんだよ」という歌詞だそうです。そんな平和な気持ちでクールダウンをしてください〜
レッスンで皆様にお会いできること、楽しみにしております!
BOLLYQUE
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